昨年、現代ビジネスで何度か小杉のタワマン・戸建て水害のことを書かせてもらった。同じ水害被害者でも、マンションと戸建てでは利害も、今後の対策も異なる部分がある。市の対応(賠償)がなければ「訴えるぞ!」という点での温度差もある。ただ、最近ネットで見た情報では、マンション住民を中心とするグループでは、市に(賠償・補償はともかく再発防止のための)各種要望を行ったようだ。
高層マンション住民は、高所得で社会的ステータスも高い人たちが多いと想像され、今回の件もいろいろ調べ上げて要望を積み上げてきたものと思われる。ただ、自分で不動産を持ったことに対する自己責任についてはどう考えているのだろうか。
市もすべての要望をきくわけにはいかないだろうが、 なかでも避難所を用意してほしいという話はかなりハードルが高い。既存の町内会に割り当てられている避難所の分け前をもらうのは不可能だろうし、では行政が新たなところを用意するのか?
そもそも武蔵小杉は広い川崎市の一部地域に市が不公平なまでに税金投入して便利な街を作った経緯があるなかで(詳細は拙著「住みたいまちランキングの罠」参照)、もともと裕福で、かつ地元の旧住民と心理的距離のあるマンション住民をフォローするために税金を投入しすぎることは川崎市全体から見ていっそうの不公平感を煽ることになりやしないかと、下世話ながら気になってしまうのである。
あなたがたはそもそも高層マンション、いや高級マンションに住んでるんですし、 同じ水害被害者でも、少なくとも居住部分が被害を受けた戸建て住まいの方とは違うので、ある程度自己負担をしてもらわないと市民全体の理解が得られない…といわれたらどうなるんだろうか。
それこそ、マンション管理組合が3階くらいの低層階住戸を買い取ってリフォームし、共用部分に組み入れ、普段はコミュニティスペース、いざというときは避難所にするくらいにしてはどうだろうか。