逗子の斜面崩落マンション事故、事態は動いていました

みなさんは、2020年2月に発生した逗子のマンション斜面崩落事故を覚えていますか。運悪く通りかかっていた高校生が巻き込まれ、不幸な犠牲者が出てしまった事故です。これに対し、このサイトが一時休止する前、マンション管理組合のリスクという視点で記事を書いてたんです。

その後4年経ち、各種の訴訟を経て、大部分は和解で決着したようです。松本人志VS文春の裁判でも話題になりましたが、近年は裁判所も判決で白黒つけるんじゃなくて和解に誘導するようになっていて、和解に応じなかったら、応じないほうに厳しい判決を出すとやんわり脅して、和解に持ち込むんだとか。

まあ当事者としても争い続ける時間と労力のデメリットを考えれば、ここで手打ち、というのは十分ありえるわけで。

とはいえ人的被害も出てしまった事故ですので、訴訟は多方面にわたったようです。

遺族→マンション区分所有者約50人の訴訟:2023.6に和解

一審判決前の2023年6月に区分所有者側が1億円を支払うことで和解が成立したとのこと。さすがに管理組合の持ち出しにはならず、遺族側の弁護士によると、管理組合の損害保険でまかなわれていることのようです。とはいえ、それだけ保険金が支払われると、自動車事故などでもそうですが、その後の保険料の値上がりは間違いなし。もちろんそれ以外にも、事故対応による区分所有者の精神的疲弊に加え(事故後、和解まで3年以上)、事故の負のイメージによる資産価値への影響など、ダメージは計り知れません。

遺族→マンション管理会社・同従業員の訴訟:管理会社は2023.12の判決受け入れ

大部分の責任は管理組合が果たしたとはいえ、管理会社も責任は負わなければなりません。管理会社側には約107万円の賠償を命ずる地裁判決が出て、それを受諾(従業員は控訴→後述)。

遺族→県の責任を問う訴えは2024.5に地裁で棄却、控訴せず判決確定

県の責任は問えなかったようです。まあ、こういう責任を問われるとなると県職員も毎日心配で仕方なくなりますよね。

遺族→従業員の控訴審も途中で和解2024.6

ただ一人、自分には不法行為責任はないとして控訴審を戦っていた従業員ですが、結局謝罪に転じて和解(賠償は会社が負担することで終わっていたようです)。和解により、遺族が従業員個人に刑事処分を求めないことも確定したとのことです。これで遺族の訴訟はすべて終わりました。

【時系列遡り】逗子市→管理組合の復旧費を巡る係争もあった:2020.12和解

事故発生後、応急復旧に動いたのは地元自治体です。結構なお金(約3750万円)がかかっていて、結局管理組合が10年以上かけて年300万円ずつ分割納付するということで和解が成立。これも保険が下りるのか、あるいは修繕積立を取り崩すのか不明ですが、管理組合としてはかなり痛いことはまちがいないです。実は、上記の訴訟より早く、事故が発生した年の秋には市議会でも可決され和解成立しています。人命に関わる損害賠償と違って金額がはっきりしているのと、実際に出費(損害)が明らかで争いの余地が小さかったからでしょう。

以上から学ぶべきこと

マンションを保有する以上、その立地にもよりますがリスクがあるってことですね。

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