マンション敷地斜面崩落事故で新局面

今日は、行政評論家の大原みはるとしてエントリーする。

かつて、逗子市の斜面崩落で女子高生が巻き込まれて犠牲になる痛ましい事故が起きたことをご記憶だろうか。当サイトでも、分譲マンションオーナー(管理組合)の責任が問われる怖さを紹介した。そしてその事故に、新局面が訪れたことを毎日新聞が報じている。マンションの管理人が、事故発生の前日に亀裂を発見していて管理会社に伝えたが、管理会社が行政当局への連絡を怠っていたのだという。

毎日新聞の取材に対し県の担当者は、

「亀裂の情報を知らされていれば、現地に調査に行ったり、市道を通行規制するなど市側に何らかの対応を求めたりして、生徒の死を防ぐことができたかもしれない」

と答えたと報じられている。そりゃ、今振り返れば、そう答えるだろうよ。でも、実際、その時点で情報が持ち込まれて、その日に車を出して県は現地を見に行ったか?見た上で、県は市に通報したか?市も車を出してその日に現地を見に行ったか?その上で通行止めまで決断できたか?大雨や台風がくるという状況でなければしばらく様子見、なんて行政の現場では当たり前のように行われているよ。

「たられば」だらけである。翌日に大惨事が起きたことを知っている今だから、連絡をもらえていれば、こういうことができていたかもしれない、と積極的に考える一種のバイアスが働くのだろうが、そんな結果が起こるなどと知らない状況で、実際に通行止めにするには勇気がいるはずだ。通行人がいるということは、文句も受けることになるわけで。

本件、本来であれば責任は管理組合にあると考えられるが、管理人(管理スタッフ)は責任を果たし、管理会社が握りつぶした(or見逃した)となれば、責任の所在は変わってくるとこの記事は言いたいのだろう。しかし、仮に管理会社が県に通報していたとしても事故を100%回避できたとは断言できないところにこの事故の難しさはある。むろん、管理会社の過失度合が急に大きくなってしまった(管理組合がほぼ免責になる可能性も出てきた)のは間違いないけども。

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