ネットニュースを見ていると、パワーカップルが高額融資を受けて高額(高級ではない。念のため。)タワマンを買い、その後生活破綻して売りに出すことになった記事がたまに乗る。たとえばこんな感じ。
仕事のリストラ等で世帯年収が維持できなくなってローン負担に耐えかねるケース
丸の内や銀座、大手町、日本橋といったオフィス街へのアクセスがよく、大型の複合施設も揃い、タワーマンションが林立している都心の湾岸地区。若い世代を中心に根強い人気を誇る「湾岸タワマン」ですが、なかには無理のある住宅ローン返済計画を立ててでも住みたいと望む人もいるようで……。本記事ではAさんの夫婦の事例とともに、高収入夫婦でも陥る可能性のある住宅ローン破綻のリスク、住宅購入におけるリスク管理の重要性について、社会保険労務士法人エニシアFP代表の三藤桂子氏が解説します。※個人の特定を避けるため、事例の一部を改変しています。
こういうものに対するヤフーコメントなどでよくあるのが、実話かどうかわからない、という意見。それを言ってしまえばきりがないのだが、幸せな生活が交通事故や病気、あるいは不貞行為で一変する、というのは世の中の何万何千もの世帯の中では、一定の確率で発生しうることだ。
発生しうるからこそ、社会には「保険」という制度も存在する。「俺は絶対病気にならない、死なない、事故を起こさない」と思って保険に入らないのは自由だが、いざ何かあった時、保険に入っておけばよかったとならないのか。掛け捨てであっても、保険に入る意味というのはそこにあるのだ。
私は、分譲マンションを買って高額ローンを組むのではなく、賃貸家賃を払い続けることが、人生における一種の保険であると、拙著の中で主張してきた。
マンションを買ったあとの人生のリスクヘッジとしては、団信保険つまり死亡(あるいは余命宣告)という事故しかカバーできない。離婚やリストラはカバーされないのだ。
こういう記事を、そんなに不幸が重なりすぎることはありえない、として作り話認定するのは、もはや思考が固定化された「分譲優位脳」以外の何物でもないような気がしてしまう。
物価や金利の上昇リスクはどうか?
また、最近は物価や金利の上昇、転売価格の下落などにより、持ち家を続けることへのリスク要因もある。住宅ローンとは別に、分譲マンション住みなら一生払い続けなければいけない「隠れ家賃」たる、管理費・修繕積立金、そして固定資産税・都市計画税。私が過去に住んでいた物件では、タワーマンションではなかったのに年間60万円かかっていた(うち税金が10万円)。
その意味で、この牧野さんの記事は本当に慧眼である。あと5年でいいので、賃貸に暮らし、需給バランスが反転するタイミング、しかも大不況がきたときなら、おそらく今の半値以下で買えるのではないかと思う。そうなったら、私も再び持ち家に戻るかもしれない。
高層階からの絶景、充実した設備、快適なコンシェルジュのサービス。憧れのタワーマンション暮らしを手に入れた一家が、泣く泣くマンションを手放さなければならなかった悲しき理由とは──。