こんな記事を見た。
空き家だらけの団地群、その正体は?
廃団地っていうと、一時はにぎわったけど、時代の変化の中で住人が転出していって、設備は老朽化して、最終的には閉鎖されました~でも壊されずに「廃墟」として残っています、みたいな印象を与えるワードだ。
でも、記事を丁寧に読んでいくと、これを廃団地と呼ぶのはどうなんだろうね。タイトルに書いた通り、悪意ある印象操作じゃないの?って思えてしまう(というか結局アクセス数稼ぎのための見出し付けかな?)。
ネタバレという言い方も変だが、この記事の中身を説明すると、かつて、筑波研究学園都市に政府系の研究機関がこぞって移転・進出し、研究系公務員とその家族がこの地域に住まいを求めることになり、大量の公務員住宅が供給された。その後、政府が公務員住宅の削減(国有財産の売却)の方針に転じ、公務員世帯も民間住宅に居を求めて引っ越して行った(つくばエクスプレスもできて通勤もしやすくなった)。そのなれの果てがこの廃団地である、というもの。
昔の賑わいがなくなって廃墟になっている、ということを写真や文章で説明されると、私自身が団塊ジュニア世代で、そういう社宅系のところで遊んだ世代なので、ノスタルジーじゃないけど、まあ感じるものはある。
ただ、つくばの「廃団地」とされるところはさ、住都公団とかが供給した団地とかとは違う。いま「廃団地」のようにに見えるのは、国の財政への貢献のため資産売却をしようとしているが、簡単には売れないから放置されている、ただそれゆえである、ということだ。本来、駅チカだから簡単に再開発できそうに思えるんだけど、大量の土地が出回ると地域の不動産価値に影響が出るとか、国も安く売りたくはないとか、いろいろあるんだろう。
確かにこの記事の写真でも、ここが関東財務局が売りに出そうとしているという看板が載せられているのだが、「赤い文字で、「売地」と書かれているが、いつになったら買い手が現れるのやら……。」と揶揄したような書きぶり。
役所バッシングとは言わないけれど、そもそもの記事の見出しが、「異様な姿にのけぞった」とか変なバイアスを掛ける見出し書くんじゃないよ。本来であれば、
つくばの元公務員住宅が、再開発されるための転売ができず、壊されずに放置されている、何とかならないものかね
ということを真摯に伝えるべきだと思う。私は行政評論家なので、重ねてそう思うよ。